あたりまえの日常が無くなって

大阪府 心斎橋教室 隅田 知子

約10年前、それまでの運動習慣が諸事情によって4年間ほど途絶えてしまい、運動不足を実感していた頃、縁あって心斎橋教室に参加させていただくことになりました。運動不足解消という軽い気持ちでの入会でしたが、時を経るにつれ、三井島体操システムの理論と実践の奥深さを感じさせられるようになりました。自分では気付きにくかった体の歪みを指摘され、矯正されながら、また脊柱管狭窄による腰痛や坐骨神経痛を持ちつつも、自分の体調に合わせて出来る体操はありがたく、思いを共有する多くの仲間の皆さんがいることで、今まで継続して来れたと思っています。

 心斎橋教室は大阪市の真ん真ん中、地下鉄2路線が通る心斎駅の地上出口から徒歩1分、少々の雨なら傘要らずという何とも嬉しい立地。私達のレオタードでお世話になっているチャコットさんが運営されるダンススタジオで、壁2面が鏡張り、自分の姿勢が一目瞭然の大変恵まれた環境でした。 「でした」と過去形なのは、スタジオが将来的に閉鎖となってしまったからです。“コロナ”です! コロナ感染者数の増加が気になり始めた2020年3月。山本先生から「しばらく自粛して、お休みしましょう」とのことで、教室休止となりました。人出の多い繁華街であり、会員約40名のほとんどが高齢者であるためです。そんな中、先生から「スタジオ自体が閉じられることになってしまいました」とのお知らせ。換気設備はあっても、窓が無い地下フロアの密閉空間は感染リスクが高いと判断され、いち早く撤退を決められたようです。 「えらいこっちや!」教室の場所探しが始まりました。山本先生と会員仲間が心当たりを調べていきましたが、なかなか思うような施設は見つからず、それまで心斎橋教室にあたりまえのように通っていたことが、何と幸せなことだったのかと、改めて思い至りました。この1年3ヶ月、緊急事態宣言が繰り返される中、新しい場所を何とか確保できるようになったものの、実際に体操できたのはわずかでした。残念なことにこの不安定な状況の中で移籍を決断された方、退会せざるを得なくなった方もおられました。久しぶりの教室では、皆がそれぞれに“体操できる、仲間と会える”喜びを感じているようでした。けっして楽しいとは言えないこの体操ですが、仲間と一緒だと楽しいし、頑張れるのです。コロナによって人と人との距離は遠ざけられても、体操仲間の“心の距離は密”なのです。 私自身、この間に筋肉はすっかり落ち、骨量も減少。継続の大切さを痛感しました。ワクチン接種が加速してきている今、一日も早く毎週の教室があたりまえの日常となり、仲間の皆さんと共に体操を継続していけるよ うになることを願っています。