福岡県 赤坂教室
片柳 美幸
「いのちからだからだいのち」の中に「体育」に関する学生の考えを聞かれたときのことが書かれている。その一つ「体力のある者がさらに体力をつけ体力の乏しいものは疎外される」という文が目に止まった。私はスポーツをやっていたとき、勝つために練習の機会は上手な者に与えられ,そうでない者(私)は傍で何らかの協力をする経験をしていた。決して主体的に活動している状態とはいえなかった。しかし、この体操は違う。いつも自分の体が主になり他者と比べることなく主体的に活動できる。30代後半…入会。魅力的な先生との出会いである。40代…体の変化が顕著にみられる。子どもの頃できなかった逆上がり(鉄棒)や抱え込み飛び(跳び箱)ができるようになる。サッカーやバレーボールをするとき、安定した姿勢でキックやパスができる。生徒と一緒にできる喜びを感じていた。家の手伝いで農作業をするときでも30kgの肥料をしっかりした足どりで運べる。苗箱を運ぶ時、よろけそうになっても元の体制にすぐ戻れる。 これらの変化に驚くことばかりだった。 50代…だんだんできないことが増えてくる。そして、58歳のとき、赤マムシに咬まれた。そのうちに口がしびれる。見る物すべて「く」の字になり白と黒の濃淡だけになるが、やがて見えなくなる。股関節が動かない。「もう駄目だ!」という発想はなく、体操のいろいろな形と自分の体を対比しながらどこがどのように動くのだろうと集中治療室で考えていた。60代…両親の介護が始まった。仕事と介護を両立するために往復4時間かけて実家と職場を通った。睡眠時間3時間。 こんな生活を繰り返していると、とうとう足が動かなくなり松葉づえを利用する。介護と治療に専念するため仕事を辞めたが、今も往復4時間かけて体操に通っている。体が衰えたといって排除されることもない、この運動ができないからといって疎外されることもないからだ。 25年継続。魅力的な先生のご指導をはじめ、会員の皆様の力がなくてはできないことである。心より感謝している。私はこれまでに熊本・福岡・大阪と3回の指導者研修を受けてきたがここら辺で「体操三井島システム」の広がりのない県を塗りたいと思う。